地域での起業やビジネス環境とは
まず、これから地域でビジネスを行う上での問題点を整理した。ホームページやSNSなどで情報を発信することは目立ってきたが、その情報は誰に届いているのか。本当に情報を欲しい人には届いているのだろうか。
たとえば自治会・町内会に入ろうと考えても、どうやって入ればいいのか分からない。情報がどうすれば届くのかを考えていかなければならない。
起業やビジネスを行う際、こんな課題があるのではないか、という点をまとめた。
まず、港北区で若い世代が起業しやすいのかどうか。
都内では起業を促す街があるが、港北区にはそういった場所はあるのか。
アイデアを相談できる窓口はどこにあるのだろうか。気軽に相談できる場所が見つからないので、この「港北つなぎ塾」に来ているのかもしれない。
今回、「港北つなぎ塾」での3回のワークショップを終えた後、不安になった時などにそばでサポートしてくれる人がいないと起業やビジネスを軌道に乗せるのは難しいのではないか。
人と人のつながりをどうするか。Facebookに参加すればつながるのか。あるいはホームページを作ればつながるのだろうか。
基本的には情報を発信してはいるが、一方通行になりがちだ。情報の受発信が行われて初めてつながることになるのではないか。意外に情報を発信することが中心になって、「受け取る」という部分ができていないのではないか。
子育てや高齢者支援など分野ごとにまとまりは見られるが、分野間で分断されているようにも見える。交流が必要だ。
若い人ばかりでなく、定年した方々も「もう一花咲かせたい」という思いを持つ人も目立つ。これまでは男性が中心だったが、働く女性が増えてきた。だけどどうしていいのか分からない。家族にもなかなか話せない。
次の道へ踏み出す気持ちが固まっている人もいるが、具体的にどうしていいのか分からない人も多い。
そうした「もやもやとした思い」を自分自身で解決しなければならないのか。解決できる場所、話を聞いてくれる場所や人、仲間がいたら、伴走者としてつながってもらえたら、もう一花もふた花も咲かせられるのではないだろうか。
そこで、こうしたものを作りたいという4つの案が出てきた。
そこで考えたのが「街のコンシェルジュ」という仕組みだ。
オープンな形で日常のなかに溶け込んでいる街のなかの「相談所」のような"リアルな場"と、Web上の掲示板のような「総合窓口」があればいい。
区内でも多数の情報が発信されているが、その集積場所がない。「情報の交差点」になりたいとの思いがある。
人がつながるための一つの「半官半民事業」を考えてみた。
ある場所を限定して電子書籍を読み放題にする。その場でも買えるようにし、一部のお金を地域に落とす。
こういう形なら、人口35万人のポテンシャルを生かせる可能性があるのではないか。
図書館だけでなく地域ケアプラザなども活用しながら、電車やバスではなく、歩いて気軽に訪れることができる場所で実現できないか。
そこに行けば金融機関ともつながる場所、個人でもグループでも相談ができるような場所。カフェ機能もあればいい。
そんな「場所」を作りたいというのが結論だ。
………………
<担当アドバイザー・佐藤氏>
商店街、自治会・町内会、行政など地域における横のつながりが重要だということを思った。それらが情報発信をすることで活性化を図ることが重要という話になり、それなら地域の拠点が必要、という形となった。
今後も上手く進むように伴走していきたい。
<別分野のアドバイザー・小泉氏>
起業する際は、やはり仲間がいないと踏み切りづらいし、楽しくはないかもしれない。
私がつとめる会社では、社内プロジェクトを個人で始める場合、「仲間を求める会」が開かれていて、そういうやり方もあるかもしれない。
<別分野のアドバイザー・黒須氏>
これまでのビジネスにおける「平日昼間の地域社会」に生きたことがない人たちがマーケット調査を通して起業することが起業活動であるとすれば、今回は社会や生活のなかから出てくる課題をすくいあげる、という起業の考え方を提案したのではないか。
新しい可能性が感じられる内容だった。
<別分野のアドバイザー・鈴木氏>
ソーシャルビジネスと呼ぶのだと思われるが、これは通常のビジネスよりハードルが高い。誰かが「腹をくくる」ということが大事ではないか。
ソーシャルは「競合」するのではなく、幾つもの主体が「同盟」していくという点を重視してやっていただけたら。港北区は人口35万人というとひとつの大きな「市」である。チャンスはあるはずだ。
<別分野のアドバイザー・平井氏>
「歩いて行ける範囲に拠点が必要」とあったが、これは非常に大事なこと。図書館に関する提案があったが、東京都内だと歩いて行ける範囲に図書館がある。しかし、横浜市内は電車に乗らないと図書館に行けないのが当たり前となっている。
横浜市民の当たり前、を変えていける可能性があるので、ぜひ実現してほしい。