港北つなぎ塾トーク

つなぎ塾トーク<第1回:樽町のみなさん>

コロナ禍で変化が迫られた地域活動の現状とは

一度に多くの人を集めることが難しくなるなど、新型コロナウイルスの影響で、地域活動のスタイルに変化が迫られています。「港北つなぎ塾」でも毎年冬に一同に集まる形での連続講座はいったん中断し、区内における地域団体の現状と対策法を実際に活動されている方々に尋ね、文章や画像などの形で情報を共有していく「つなぎ塾トーク」を個別に始めました。

 

 どうする、地域活動(自治会・町内会・地域団体のみなさん)(第1回~第3回)

 ~コロナで活動休止危機、IT活用で「地域活動」をどう行うか

 

今年(2020年)2、3月からの新型コロナウィルスの影響で、総会、班長会などのミーティングも書面による開催や縮小、休止、まちの清掃活動や夏まつり等の行事もほとんどが中止の状況です。

 

コロナ禍以前も、「役員のなり手が少ない」「会員の高齢化」「特定の会員しか運営、行事にかかわらない」など自治会町内会関係者の声があるなかで、自治会町内会が「どんな活動をしているのかわからない」といった若い世代の住民の声も聞いていたこともあり、ますます自治会・町内会や地域団体の「紙に拠らない」インターネットなどITを用いた情報発信力が問われるようになりました。

 

地域の情報を伝え、共有する取り組みは重要であり、戸別配布、回覧、掲示板、ホームページなどで行われていますが、SNSの使用は、一部ツイッターやフェイスブックに限定されており、役員間の連絡手段としてはLINEなども活用されはじめています。

 

 [今回の課題]

地域のかかわりは、身近な世間話から会議・打ち合わせ、行事の準備、反省会など顔と顔を合わせ、人と人が直接かかわりあうことによるコミュニケーションづくりが基本ですが、「密」を避ける日常的な連絡手段としてのITの活用の必要性が叫ばれるようになってきています。

 

早くからITを活用した地域情報の発信をしている自治会・町内会の方から、これまでの活動成果、新型コロナウィルス対策、今後のコミュニケーションのあり方や展望についてお話を伺い、これからの自治会・町内会・地域団体における情報発信や連絡手段の理想的な在り方を提案します。

つなぎ塾トークの第1回は、工場跡地のマンション化などで人口流入が続いている樽町地域からスタート。インターネットを積極的に活用して情報共有・発信を図っている樽町連合町内会を訪ね、町内会・自治会や地区の社会福祉協議会、子育て、高齢者支援などで活躍する方々に話を聞きました。(2020年10月1日公開、9月8日開催)

 

会場は樽町2丁目の新幹線高架近くにある琵琶畑(びわはた)自治会の「琵琶畑会館」。樽地区の伝統ある古い地名を冠した集会所に集まっていただいたのは次の4人の方々です。

 

 <お話を聞いた方々>

  • 小泉 亨さん樽町連合町内会会長、「パークシティ綱島」自治会長
  • 奈良 隆一さん樽町連合町内会副会長、琵琶畑自治会会長、樽地区社会福祉協議会副会長
  • 横溝 和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」(樽町1丁目)代表・施設長
  • 横溝 憲正さん:「ひっとプラン港北」樽町地区推進委員会「情報グループ」リーダ

<司会・構成>

  • 港北区地域振興課 地域力推進担当
  • 一般社団法人地域インターネット新聞社(横浜日吉新聞・新横浜新聞)
  • 写真:横浜日吉新聞撮影

 

1.地域活動における「広報」の現状とは

 

自ら行事に参加しながら写真を撮っています

 

<司会>

 

本日はありがとうございます。まずは、各団体における“新型コロナ前”の情報伝達の方法(広報手段)から教えてください

第1回「つなぎ塾トーク」の様子
第1回「つなぎ塾トーク」の様子

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

樽町地域で活動する9つの町内会・自治会で組織した「連合町内会」や、地区社会福祉協議会(地区社協)などでは、合同で「ひっとプラン港北」樽町地区推進委員会に「情報グループ」という情報発信の担当者グループを設けており、そのメンバーが7~8人います。

 

樽町ではイベントが年に10数回あるのですが、「情報グループ」で運営するホームページ「思いあいのまち樽町を通じて、写真と文章で様子を伝えるようにしています。

 

ホームページでは「今度、イベントがありますよ」という告知を行うとともに、開催後には「このような様子でした」と伝えることで、そのイベントに参加したことがない人にも「次は行ってみようかな」という思いになっていただければ。

 

地域のイベントというのは、内容などが毎年同じになってしまうので、「1年くらいレポートをしたらネタ切れになるかも」とも思っていたのですけど、「今年もイベントが開催され、この人が参加した」ということも記事としては重要なんだな、と感じています。

 

例えるなら「初詣」のニュースが毎年流れているのと同じかもしれません。

 

ただ、取材に行く担当の人は、なるべく同じ人ではないほうが新鮮なことを書けることがあるので、そういった工夫はしています。

 

<横溝憲正さん:「情報グループ」リーダ

 

樽町町内会(樽町1丁目の多くと2丁目の一部、3・4丁目の全域がエリアの町内会)で役員を務めていまして、同時に「消防団」にも入っており、さらに民生委員・児童委員の改選時にやっていただける人が見つからないということで、現在は兼務しています。

 

「情報グループ」の役割ですが、樽町の行事には、自ら参加しながら取材しています。今年はコロナ禍で開催自体ができていませんが、「ペタンク大会」とか「グランドゴルフ大会」といった大会に町内会のチームで出場しつつ、取材もということで、自分が試合に出ていないときに写真を撮って、記事にするということをやっていました。

 

自分の場合は、文章を書くことが苦手なので、写真を多く撮って、それをずらっと載せてしまうパターンが多いですね。これは良い面と悪い面があると思っていますが……。

 

今年度から小泉亨さんが樽町連合町内会の会長になられたのを機に、「情報グループ」の取りまとめという役割をいただいて、最初は荷が重いなって思っていたんですけど、全体で盛り上げ、皆さんにご協力をいただいています。ただ、今年は新型コロナの影響でイベントができないため、情報発信が滞っている面はあります。

 

ホームページに何も記事がないのはちょっとつまらないな、ということで、ちょうど毎月2回、連合町内会で「防犯パトロール」を実施していますので、その様子を久々に記事としてホームページにあげました。

 

樽町連合町内会と樽地区社協が共同で運営するホームページ「思いあいのまち樽町」
樽町連合町内会と樽地区社協が共同で運営するホームページ「思いあいのまち樽町」

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

樽町での情報発信面は、小泉会長に話していただいたことが大半ですが、そのほかに共有アルバムをクラウド上(インターネット上)につくり、そこに活動した写真などを載せています。

 

他の機関や区役所などから「こういうことで使いたいので、いい写真ありますか」と問い合わせがあった際には、そこからイベント毎に写真データ取り出してきて、写っている人の許可をもらって、区役所に使ってもらうとか社協さんに使ってもらうとか、そういう部分での広報活動もあります。

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

区の子育て支援の場である「親と子のつどいの広場ひだまり」(樽町1丁目)で代表をしており、地域と若い世代をつなぐような中間的な立場、と自分では思っております。

 

「ひだまり」の活動における告知では、「紙」媒体のものは、町内会・自治会の会長さんたちの集まりの時に出席させていただいているので、そこで掲示板への掲示をお願いしています。

 

緊急性の高い場合は、樽町のホームぺージに掲載していただくこともあり、大変助かっています。

 

また、「ひだまり」広報面ではホームページをはじめ、SNSの「フェイスブック(Facebook)」やLINEもあるのですけど、フェイスブックのほうに時々発信すると、若いお母さんたちが見てくれるようです。それを見て来てくれる人が結構増えているように思いました。

 

小泉さん(左)と横溝憲正さん
小泉さん(左)と横溝憲正さん

2.「コロナ禍」で連絡・広報体制をどうしたか

 

年度替わり時の“コロナ禍”、駐輪場で短時間会議も

 

<司会>

 

今年の3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大にともなって、団体や組織内での連絡や広報体制はどう変わりましたか

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

今年4月から樽町連合町内会の会長を務めさせていただくにあたって、通信アプリ「LINE(ライン)」で連絡を取り合える「LINEグループ」を役員のみなさんにつくっていただきました。

 

連合町内会を組織する9町内会・自治会のうち、最初はスマートフォン(スマホ)を持っていない方が3人くらいいましたが、皆さんが購入してくれました。

 

それまでは電話での連絡網があったのですが、今は全員がLINEのメッセージを通じて連絡を取れる状態です。

 

その時にもう一点お願いしたのが「ペーパーレスにしたい」ということです。連合町内会の打ち合わせ時に「紙」をコピーして準備するのも大変ですし、私も紙がたまっちゃうのは困るとの思いがありました。

 

今、連合町内会の会議ではプロジェクターとスクリーンを置き、できる限りペーパーレスで運営しています。

 

資料はすべて「Google(グーグル)ドライブ」(無料で使えるデータ保存サービス)に置いてあり、そこへアクセスすれば書類が閲覧できます。最近では連合町内会でも若い方は2人くらいがパソコン持参するようになりました。

 

横溝和子さん(左)と奈良さん
横溝和子さん(左)と奈良さん

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

ただ、パソコンやスマートフォンに慣れない方もいるので、紙媒体はまだ必要という面もあります。連合町内会に参加している会長間ではペーパレスでできちゃうのだけど、自分の町内会・自治会に戻って発表するときには、どうしても紙じゃないと、という方もいます。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

私は、自分が所属する「パークシティ綱島自治会」でもプロジェクターで投影して会議を行っています。議事録も翌日発行されるようにしており、皆さんがメモして持ち帰らなくても良い、という形にしています。

 

<司会>

 

先ほど、「Google(グーグル)ドライブ」で書類データを共有しているという話がありましたが、IDやパスワードはどうしているのですか?

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

連合町内会の「LINEグループ」に入っている会長間では共有しています。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

基本的に各会長が伝えるべきと判断した情報は、全てオープンにして良いと思っています。

 

例えば、連合町内会でこういうことが決まったよ、ということを自分のところにリンクを送ると、その場でリアルタイムに「何月何日にペタンク大会やるんだ」とみんなにすぐ伝わるという形がいいですよね。

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

連絡体制ですが、親と子のつどいの広場「ひだまり」でも、スタッフ全員に通じる「LINE」と、三役だけに通じる「LINE」と2つのグループをつくって、必要に応じてどちらかに発信しています。

 

港北区には「親と子のつどいの広場」が6カ所あり、同じく区内の子育て支援施設の「どろっぷ」(大倉山)と「どろっぷサテライト」(綱島東)との集まりが年に3回くらい行っているのですが、新型コロナの影響で区役所の会議室が使えなくなり、みんなでオンライン会議システムの「Zoom(ズーム)」を使って会議を行いました。

 

<司会>

 

LINEなどで連絡が取れていたとはいえ、4月から5月にかけての「緊急事態宣言」時は年度替わりもあって大変だったのではないですか

 

<横溝憲正さん:「情報グループ」リーダ

 

緊急事態宣言中に定例会は行わなかったのですが、年度末と年初にあたる3月と4月は、町内会では総会や準備のシーズンにあたります。

 

多くの人を集めた形での総会ができなくなった一方、何らかの形で議決や承認は得なければなりません。いつも以上に段取りを踏まなければならなくなり、町内会内部では必要以上にせわしなかったことが思い出されます。

 

民生委員の集まりは月に1回ですが、非常事態宣言の期間は休止、その間でも、短時間だけ駐輪場に集まって話し合ったこともありましたね。今は再開しました。

 

「樽町連合町内会」は9つの町内会・自治会で構成されている(「思いあいのまち樽町」より)
「樽町連合町内会」は9つの町内会・自治会で構成されている(「思いあいのまち樽町」より)

 

3.「コロナ禍」で最も有効だった連絡手段

 

外出しづらい状況では「LINE」での連絡が便利でした

 

<司会>

 

 

今年の春先には、「緊急事態宣言」も含め、外出がままならない状況となりましたが、振り返ってみて一番有効だった連絡手段は何でしたか

 

メッセージアプリ「LINE(ライン)」はスマートフォンだけでなく、パソコン版もある(LINEの公式サイトより)
メッセージアプリ「LINE(ライン)」はスマートフォンだけでなく、パソコン版もある(LINEの公式サイトより)

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

やっぱり「LINE」ですね。メールだとどうしても埋もれてしまうんですよね。

 

<横溝憲正さん:地区社協理事、民生委員・児童委員>

 

港北消防団では、火災発生時などは「携帯メール」で情報が配信されます。樽町の消防団内の「LINE」グループもありますが、私は“ガラケー”(スマートフォンではない携帯電話=「ガラパゴス携帯」の略語)なので……。

 

高齢者の見守り活動においては、今年は実際に会うことができない状況なので、すべて電話で連絡しています。

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

メールは以前から使っており、9つの町内会・自治会の会長さんはLINEやメールでやりとりができます。

 

連合町内会長の会議は月に1回ですが、その間に「防犯灯の申請しました」とか、「お金がいくらいくらで」とか、そういったことをその都度「LINEグループ」で流しています。会議へ参加するまでに分かってしまうので、早いですよ。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

全員に流さなくていいものでも、LINEグループ全員に流していますよね(笑)。これはオープンで良いことだと思っています。

 

私も港北区連合町内会の定例会(区内の13地域から代表者=会長が集まる会合)での議事や決まったことなどは、終わった瞬間にLINEグループで流すようにしています。持ち帰りたくないんです。仕事をまた別の時間にまた設定しなければならないから。

 

資料は「その日、できればペーパーレスにするためにも、会議の前までにホームページに上げてほしい」(1:補足あり)と要望しています。そのほうが議論も深まるし、情報共有が早まります。

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

私たちも、必要なことがあれば「LINEグループ」で意見を述べてもらうようにしています。そうすれば一つのフロアで話し合いをしているような感じになりますし、「皆さんのご意見を聞かせてください」と投げかけたら、それなりの数の返事が返ってきます。

 

「LINEグループ」を確立したのは、ここ1、2年のこと。それまでは、月1回のミーティングでその都度発信すればよかったのですが、こういう外出しづらい状況になったときに、やはり必要だな、ということで積極的にLINEを活用しています。

 

<司会>

 

地域においては現在も「FAX」が有効な連絡手段の一つとなっている面がありますが、みなさんの活用状況はどうですか

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

今はスマートフォン(スマホ)や携帯電話が中心で、固定電話をお持ちでない方も多いので、あまり使いません。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

私もFAX機器がないので、書類を送る時にはスマホで写真を撮って、PDF化してメールで送ることがありますね。

 

 

4.「コロナ禍」でイベントの中止などの広報連絡

 

「掲示・回覧」は数が多く大変、ホームページで告知も

 

<司会>

 

今回の「コロナ禍」により、準備してきたイベントなどを急きょ中止や延期せざるを得ないケースが多かったかと思いますが、どのように告知や連絡を行ってきたのでしょうか

 

コロナ禍で掲示物は少なくなった(琵琶畑自治会)
コロナ禍で掲示物は少なくなった(琵琶畑自治会)

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

イベント中止の連絡ですが、「掲示・回覧」については、会長会議にうまく間に合えば、印刷物で会長さんに渡して掲示をお願いしています。同時にホームページでもお知らせを載せます。

 

<横溝憲正さん:「情報グループ」リーダ

 

私が所属している「樽町町内会」では、掲示板が51カ所あり、回覧板は122個必要です。

 

新型コロナの影響で回覧板を控えるということはなかったのですが、団体や役所から回覧依頼として来るお知らせ文などの枚数が少なく、振り分けするという面では普段より楽でした。

 

ただ、普段は多い時は役所関係からくるだけで10点くらい、掲示板してくださいとか、それ以外に回覧とかがあって、なかなか掲示板には貼り切れないし、仕分けるのもすごい大変。それを主にやっているのが私達なものですから……。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

デジタル掲示板」が早く実現できるといいですよね。紙は送られてこないで、自然に掲示されているというような。

 

5.コロナ禍で「見守り活動」はどうしたのか

 

外出自粛で見守りできず、電話をかけ続けた3月

 

<司会>

 

今回のコロナ禍で外出が難しい状況となったなか、高齢者の方の見守り活動などはどのように行っていたのですか

 

今回の「つなぎ塾トーク」で会場となった琵琶畑会館
今回の「つなぎ塾トーク」で会場となった琵琶畑会館

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

樽町は連合町内会で「防犯活動」を行っていますが、「高齢者の見守り活動」は民生委員のみなさんが担当しています。

 

<横溝憲正さん:「情報グループ」リーダ>

 

民生委員として、基本的には対象者の方とは月に1回面会をしているのですが、「緊急事態宣言」(4月~5月)が出された前後は、会うことが難しくなったので、3月くらいからずっと電話をかけ続けていました

 

実際に会う場合でも、高齢者の方は医療機関へ行ったり、デイサービスへ行ったりというケースも多く、なかなか会えないことがあります。

 

先日、いつもは家にいらっしゃる方がなかなか出ないので、ケアマネージャーさんに確認したら「昨日も来ていたから大丈夫ですよ」と教えてくれたので、安心できましたが、デイサービスなどを利用していない方のなかには、今回のコロナ禍で体調が悪くなり、ずっと入院し連絡が取れずに大変だったというケースもありました。

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

その方と買物時にばったり会ったりとか、どこかへ出かける時に偶然見かけたりとか、そういう形になれば元気にしていることが分かって良いのですけど。

 

以前、連絡しても出てくれなかった高齢の男性の方がいたのですが、たまたま外で植木を手入れしている姿を見かけ、声をかけることができた、ということがありました。

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

日常の見守り活動は、民生委員さん中心にやっていただいていますが、これに加えて、災害時に要支援者を見守るという活動も必要となっていまして、ここは自治会が担当しようということになっていて、研修会も行っています。

 

また、この会館(琵琶畑会館)では、非常時の電源やトイレ、間仕切りなどを購入して備えていまして、いざという時には、ここから少し遠い「樽町中学校」まで避難が難しい要支援者のために、まずはここに避難してもらおうという準備もしています。

 

昨年2019年10月の「台風19号」の時も、高齢の要支援の方のなかに2人、避難所まで行くのが難しいという方がいました。水害(台風)の避難所は、地震の場合とは異なりますので、区役所に聞くと、避難先は綱島地区センターか大曽根会館(大曽根2丁目)だということで、確かに少し遠い。

 

そこで、お二人を綱島地区センターへ送って、翌日は朝早く迎えにいくということもしました。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

災害対策という面では、樽町連合町内会では大型商業施設の「トレッサ横浜」(師岡町)さんと災害時の協力協定を結ぶ予定です。トレッサ横浜さんにお声がけしたところ、快く受けていただけました。

 

また、トレッサ横浜さんで言いますと、今年(2020年)の春には、南棟3階のスペースを使わせていただき、師岡と樽町の地区社協が協力して学童保育施設が立ち上がっています。

 

ちょうど新型コロナで大変な時期だったのですが、当初から「LINE」を活用し、保護者の方とやりとりしました。保護者会などもオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」での参加も可能としています。

 

6.「コロナ禍」を踏まえ、今後の体制をどうするか

 

出産後に外出できずつらい思い、支援の再開に涙を流す人も

 

<司会>

 

新型コロナウイルスの影響は今も続いていますが、今後の体制や行事などはどうしていきますか

 

樽町しょうぶ公園で毎年行っている「移動動物園」(2019年11月)
樽町しょうぶ公園で毎年行っている「移動動物園」(2019年11月)

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

これから9月下旬に行う「防災訓練」は重要なため、中止することはできないので、縮小して開きます。

 

今回発行する紙の広報紙「イベント掲示板」では、イベントがほとんどないので、「樽町の防災について」という内容で発行しようと思っています。

 

<奈良隆一さん:連合町内会副会長、地区社協副会長>

 

先日、地区社協では、港北区各地区の会長が顔を合わせる会議があり、会長の代理で出席させていただいたのですが、みなさんから聞こえてきたのは、「活動は停滞してしまっていてできない」「こんな状況で中止、中止」との話が多かったですね。

 

樽町連合町内会ではなく私達の琵琶畑自治会ですが、役員が40人ほどいますので「密」になる為に役員会が開催できません。

 

それで、「三役会」として会長や副会長など4人で集まって話し合うことが多いのですが、ここで審議(話し合い)はできても、役員のみなさん全員とは話し合えないので、決議(最終決定)までもっていくのは非常に難しいものがあります。

 

そこで三役会を拡大して役員や班長に何人か入ってもらう形にして、なるべく審議を長引かせず、決議まで持っていく体制にしようと話し合っているところです。

 

<横溝憲正さん:「情報グループ」リーダ>

 

私の所属する「樽町町内会」では、役員会は行っていますが、各地域の組長(班長)さんを含めると70人以上いますので、掲示板や回覧用の紙を順次手渡すという形でのみ集まっています。

 

<小泉亨さん:樽町連合町内会会長>

 

私の所属する「パークシティ綱島自治会」では、役員が8人ですので、実際に集まって会議を開いています。本当はオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って開催したいのですが、役員は同じマンションの住民であり、そこに集会室もある環境です。Zoomだと逆に手間になってしまいそうなので、集まってもらっています。

 

ただ、新型コロナウイルスの影響でマンションの集会室が使えない期間があり、会議を開けない時期もありました。現在は使うことができるようになりましたが、マンション居住者のみの環境は今も続いています。

 

樽町地域ケアプラザ
樽町地域ケアプラザ

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

さまざまな活動が停滞していますが、樽町でも同様です。高齢の方を対象とした「わかば会」という30年続いた会がありますが、今年度は中止となってしまいました。

 

奈良さんが代表として開催されている「なごみ食堂」(三世代の皆さんに、樽町ケアプラザで定期的にカレーライスなどを提供する企画)が中止。また、手作りお菓子とお茶を提供する三世代交流「みんなのキッチン」も今年度は中止。子育てサロン「ちびたる」も中止となっています。

 

私自身が携わっている、障害者のセーフティネット分科会の中に「白梅会(しらうめかい)」(港北区社会福祉協議会の分科会活動)あります。会議に参加したご縁で、2007年から障害者の方に食事サービスを行ってきましたが、今年は4月以降は開催できずにいました。

 

会場として使っている「樽町地域ケアプラザ」の調理室は5人まで、多目的ホールも20人までしか入れないという限定的な状況でも、どうにかして開けないかと模索していたところ、その場で食事を調理するのではなく、「お弁当」の形で用意することを思いつき、7月から再開にこぎつけました。

 

25食分のお弁当箱や箸、みそ汁用のカップなどを新たに購入し、ケアプラザでは調理器具のみをお借りする形で開いたところ非常に好評で、スタッフとしてすごく嬉しく思っているところです。

 

親と子のつどいの広場「ひだまり」のほうは、6月から再開しましたが、新型コロナ対策上の縛りが厳しく、最初は午前3組、午後3組という感じでした。現在は午前・午後とも4組まで電話予約で承っています。利用者さんには検温・手洗い・うがいの励行、ひだまりとしてはおもちゃの消毒や室内の消毒・換気には特に注意をしています。

 

お母さんのなかには、里帰り出産でこちらへ戻ってきたらすぐにコロナ禍となり、まったく外出ができなくて、本当にすごくつらくて寂しい思いをしていたという方がいらっしゃいました。

 

そんななか、6月にようやく「赤ちゃん訪問」(生後4カ月までの子どもがいる家庭に民生委員・児童委員などの子育て経験者が訪問する港北区の「こんにちは赤ちゃん訪問事業」)が再開し、その際に「ひだまり」を紹介してくださっているようで、来所されて「すごくうれしいです」と言いながら涙ぐんでいた方がいました。とても印象的で、「やっていてよかったな」って思いました。

 

<司会>

 

子育てはコロナ禍でも「24時間365日」休めないだけに、子育て支援という面で課題もあったかと思います

 

<横溝和子さん:親と子のつどいの広場「ひだまり」代表>

 

もう少しお話をさせていただきますと、子育て支援という面では、港北区の「赤ちゃん会」(0歳児地域育児教室、樽町地域ケアプラザなど区内20カ所以上に会場を設定)も再開したのですが、人数制限があり、予約しようにも「何回電話しても赤ちゃん会に参加ができない」(2:下記補足あり)というお話を聞きます。

 

これは区役所に現状を伝えなければいけないと思って、二度目の参加となる方は初参加の人に譲るなど、平等性が保てるよう調整ができないかと要望しています。

 

お母さんたちにとって、「役所に何かを言う」という行動自体がすごくハードルが高く、担当の保健師さんにも電話しづらいということをよく耳にします。

 

お母さんたちには、「ハードルが高いなんて思わないで、自分が言いたいことは直接言えないとだめよ。言えない分は私たちが頑張って伝えるから」とアドバイスはしています。

 

一方、横浜市外で赤ちゃんを産んで、2人目は横浜へ来て産んでも、第1子の0歳児と保護者を対象している「赤ちゃん会」には参加できないという現状もあり、そういった点は改善してほしいです。

 

それから、港北区では、初めてお母さんになる人を対象とした両親教室に参加した人に「にんしんお祝いグッズ」のプレゼントがあるのですが、お母さんにとっては、初めての子どもも二番目の子どもも区別ないじゃないですか。そこで区別をしてはいけないということを、声を大にして言いたいです。

 

子どもを持つお母さんとかかわっていますと、そのあたりをもうちょっと「優しい目」で見て欲しいという思いがあります。

 

<司会>

 

本日はさまざまな声をお聞かせいただき、ありがとうございました。今回の第1回「つなぎ塾トーク」の内容は、広く共有していきたいと思います

 

(「つなぎ塾トーク」第1回:開催日2020年9月8日)

 

1)港北区役所の担当より:昨年度中(平成31年度=2019年度)中から、区連会資料は基本的に会議の当日中に掲載しています」とのこと

 

2)港北区役所の担当より:「赤ちゃん会の申し込みは、港北区ホームページの赤ちゃん会会場一覧から、電子申請によりお申込みいただいております」とのこと