(A)自治会・町内会・地域団体グループの発表

担い手と情報発信のあり方

 

今回のテーマが「ワクワクする情報発信でつながろう」ということで、「ワクワク」って何なのか、という非常に難しいところではあるが、そこからスタートした。

 

自治会・町内会・地域団体では、「どのような情報をどうやって発信するのか」という点が重要だとの認識となった。この部分をキーワードに、ブレインストーミング(自由にアイデアを出す形)的に、皆さんにいろいろな意見を出してもらった。

 

かなり意見が散らばってしまい、時間が押して押して、最後はアドバイザーに上手くまとめてもらって、資料を作るところまでできたという感じだった。

 

 

さまざまな意見が出たなかで、大きく2つの課題があるのではないか、という所までたどり着いた。

 

これまでのグループ発表のなかにもかぶっている部分はあるが、やはり「担い手の問題」だ。担い手は、若い世代だけでなくて、シニアの方も含めてなのだが、担い手の問題が非常に大きい。

 

先ほど、発表のなかで「自治会・町内会に入りにくい、分からない」という声も上がったが、やはり“自治会・町内会の壁”というものがあるのではないか――との意見がグループの皆さんから出てきた。

 

参加している若い方にしても、モチベーションを保つのが非常に難しい。共働きの方が多いなかで、どうやって地域の活動に参加すべきか。また、若い世代のモチベーションを保つのが難しい、という面もある。このようななかで、どのように地域に参加してもらうかは課題だ。

 

これまでの発表でも出たが、マンションに引っ越してきた方などは、自治会・町内会の存在に気付かない人も多い。最近では戸建てでも自治会・町内会に入らないという人も目立つ。

 

また、自治会・町内会の加入世帯は多くても、活動に参加されている方が少ないとの現状もある。

 

昨今、さまざまな災害が頻発しているので、「隣近所を知らない」という状況は望ましくはない。

 

そこで、いかに自治会・町内会に入ってもらうか。また、活動を活発化させるためには、どのように情報発信していくべきか、ということになる。

 

具体的には、ホームページの必要性やSNSの活用といった点を、この後に発表していく。

 

 

そこで、考えたのが港北区として「地域向けのホームページ基盤(テンプレート)」を整備し、技術的な面も含めて区内の自治会・町内会をアドバイスできるような態勢を作るということだ。

 

現状を見ると、自治会・町内会で個別に開設しているホームページは、それぞれ掲載内容や更新頻度、デザインなどがバラバラだ。読み手の事も考えると、ある程度はレベル感を統一したほうが良いのではないか。

 

個別の自治会・町内会だけではなく、上部の連合自治会・町内会でも、ワクワクするようなホームページなども作って、港北区のイベントの情報をしっかりと載せるというのが望ましい。

 

 

地域のホームページを開設するうえでは、その地域で活動しているさまざまな団体やグループの情報を網羅することが大事なのではないか。

 

連合自治会・町内会と傘下の各自治会・町内会、地域の社会福祉協議会、民児協(民生委員・児童委員、主任児童員)、青少年指導員、スポーツ推進委員など、地域で活動している皆さんが出ているホームページが良い。

 

各地域の団体や、歴史の会の方、子育て拠点、地域カフェといった地域活動団体も、一緒にそのホームページに掲載することで、地域で活動されている方が、コラボレーションを行っていけるような、そういうことをやっていきたい。

 

一方、運営面では現状でもホームページはあるが、何年も更新されていなくて、現状と全く違うものが掲載されているというホームページも見られ、更新面での課題はある。

 

まずは、各地域で統一した形で、地域の活動などをまとめたサイトを作りたい。

 

 

「担い手」の問題では、自治会・町内会の活動現場では、高齢化が進んでいるという悩みがよく聞かれるところであり、「次の担い手が欲しい」という声は多い。

 

そこで、担い手が魅力を感じる町内会にしてはどうか。

 

楽しく参加できる、負担感少なく参加できる、そして「やらされ感」が少ない、こういうところを考えながら、参加してもらえるように、というのはどうかと考えている。

 

また、若い世代の参加はもちろん大事だが、今は元気なシニアの方もたくさんいる。そういう方々もぜひ参加してもらって、若い方だけでなく、町内会を盛り上げていってもらえれば。

 

また私見だが、社会的に「働き方改革」が叫ばれているなか、町内会の仕事も少しずつ「働き方改革」を取り入れていけば、若い方も参加しやすくなるのではと思う。

 

 

アナログといわれる自治会・町内会のなかでも、それぞれのホームページを持っている団体もあるが、「実際には見てもらえることって少ないね」という話が出ている。

 

見てもらうためにはどうしたらいいか、という点だが、ホームページには固定された情報の掲載やSNSのリンクを貼っておくとか、皆んなが一目で分かるようなイベントカレンダーの更新などを適宜していくとか、という感じで良いのではないか。

 

フェイスブック(Facebook)、インスタグラム(Instagram)、ツイッター(Twitter)など、とりあえずSNSのリンクを全部ホームページに貼っておいて、逆にSNSのほうにもホームページのリンクを必ず貼っておくと、興味があったことは、ちゃんとホームページを見てみようかな、といったことでつながっていくのではないかと思う。

 

ただ、一つだけ使うのではダメ。ツイッターはみてるけど、フェイスブックはみれないという人もいるので、必ず、使えるツールは全部使うといい。

 

無料で使える情報発信ツールは多数あるので、組織・団体の「内部向け」と広報用の「外部向け」をそれぞれ作ると、細かい内容が発信できると思うので、試してみてほしい。

 

 

代表的な情報発信ツールを一つ上げると「ホームページ」ということになる。その整備をするためには、「行政の担当係」というのは大切になってくると思う。

 

例えば、行政の担当係として期待することとしては、青葉区でやっているようないわゆる「ITリテラシー」を向上させるような講習会開催などが考えられる。

 

一方、ホームページを作ったり、さまざまなツールを使ったりできるかということは、自治会・町内会長の意識が影響している。特に地域のトップである連合自治会・町内会長へのアプローチはものすごく大切になってくると思う。

 

ボトムアップという方法もいいかもしれないが、なかなかそうはいかない。自治会・町内会が変われる一つの鍵となるかもしれないのがトップの意識だ。

 

自治会・町内会がホームページを立ち上げる際や、立ち上げた後の運営面でもさまざまな課題がある。そうした面の支援ができるような専門家もたくさんいるはずなので、協力をいただけたらと思う。

 

いずれにせよ、何をやるにもお金は必要なので、まずは予算を確保してもらう。この点は、行政に期待するところである。

 

 

情報発信という面で、もう一つ考えたのが「掲示板のデジタル化」だ。

 

これはインターネット上やホームページ内のバーチャルなものではなく、街のなかに設置されている自治会・町内会の「掲示板」のこと。

 

地域内の情報源として何を頼りにするか、というと「回覧板」はあるが、次に早く回さなければならないので、ほとんど目を通さずに回してしまうケースもある。

 

それからホームページとかインターネットの情報だが、私の町内会で確認したところ、まだまだメールもできない人がほとんど、いや結構いる。なかなか情報源としてはホームページもSNSも難しいところがあると感じている。

 

そうした面から、街の情報発信ツールとして「掲示板」はまだまだ重要ではないか。

 

ただ、掲示板は街の目立たないところにあったりして、そこまで行かないと見られない。

 

また、掲示板に貼れる紙の枚数も限られている。特に行政のチラシがやたらと多く、今日も10枚ほど貼ってきたが、行政のものを全て貼っていたら、とてもじゃないが自治会・町内会からの告知は貼れなくなってしまう。

 

まずは、掲示板を立てる場所を工夫すべきでないかと考えた。例えば多くの人が集まるバス停付近は最適だ。

 

そのうえで、デジタル化された情報がスライドする掲示板(デジタルサイネージ/デジタル掲示板)にすれば、多くの情報を流すことが可能になる。

 

ただ、掲示板のデジタル化にはお金もかかるし、バス停付近に設置させてもらうには許可も必要になる。これを行政のほうでバックアップしてもらって実現する方法はないかと考えている。

 

今、欲している情報をタイムリーに、必要な時に得られるものを考えたほうがいいのではないか。

 

インターネットとかそれに頼るだけではなく、身近な情報をできるだけ身近なところで得られるようなそういうものを提案できないかとまとめた。(拍手)

……………

 

<別分野のアドバイザー・黒須氏>

 

私が活動している「男の3Gプロジェクト」(料理教室など)では、ホームページとSNS、あとは回覧板で告知しているが、ネットの場合はネットから、回覧板は電話と申込方法を変えている。主婦の方は回覧板経由が多く、他はネットで申し込むケースが多い。世代に合わせた情報受発信の仕組みが大事なのかもしれない。

 

また、自治会・町内会の活動については、活動時間の長さをはじめ、話し合う内容や進展スピードといった点において、忙しい若い人が敬遠する気持ちは理解できなくもない。

 

最近、セミナーや会合なども、世代別に例えば「30代まで」「40代だけ」といった切り口も出てきているので、そういった世代別の文化に切り込むような仕組みが出てきたらいいな、と思っていたところだった。

 

<別分野のアドバイザー・鈴木氏>

 

私たちも「必要な人に必要な情報を届けるのは難しい」と、いつも活動のなかで感じさせられている。

 

先ほどから地域に「拠点」があったらいいなという声があがっているが、拠点を運営する側からすると、家賃も光熱費も人件費もかかって、その中で何かイベントをすると、普通に会費が1000円とか2000円になってしまう。しかし、2000円という会費のイベントになると、自治会・町内会の掲示板や回覧板ではなかなか回してもらえない。

 

その辺の意識の変化というものがあると嬉しいという声があがっている。

 

<別分野のアドバイザー・佐藤氏>

 

「担い手」の問題は、自治会・町内会に限らず、なかなか地域の組織に入ってくれないといったことがある。よく聞くのが、「入ったら最後、こき使われてしまう」だとか、「上下関係があって、会社で日中もうんざりしているのに、地元でもうんざりは嫌だ」とか「自分の時間がなくなってしまう」とか、いろいろな話は耳に入ってくる。

 

実際はそんなことはないと思う。自治会・町内会や団体に入ると地域で仲間もできるし、行けるときにできる人がやればいいんじゃないの、といった状況だとは思うが、そういうところをもっと発信していくと会が盛り上がっていくのかな、と思った。

 

<別分野のアドバイザー・平井氏>

 

自治会・町内会の関係だけではないと思うが、自分たちで全部答えを見つけようとしなくても、そこいら中に答えはあると思う。

 

特に自治会・町内会は日本全国で無いところはないと思う。日本中で困って工夫をしているから、先例を持ってくる、アイデアや仕組みをそのまま借用してくるというのをぜひすればいいな、と。

 

これは他のグループでも同じことだが、自治会・町内会が多分一番やりやすい。それを自分で探してこなくても、多分、その辺は行政の方の力が大きく効くのではないか。

 

また、発信した情報がその後どうなっているのか、というのを、Bグループの「ビジネス・起業」の方たちが「受信」ということの大切さのことも言われていたので、そちらのグループの方とうまくコラボしていくといいのかなと思った。

 

<担当アドバイザー・小泉氏>

 

最初に話した「担い手」の問題と、「情報発信」の問題について考えてきたが、今、自治会・町内会のホームページは、町内会長がどれだけ自分ができるか、やる気があるか、やってくれる人がいるか、ということに委ねられてしまっている。

 

しかし、もう間違いなく必要だと思う。確かに、あまり見られてないという面もあるが、SNSと組み合わせるなどの方法も考えられる。団体によって整備がまちまちになってしまっている、というところが大きな問題かと思っている。

 

われわれのグループでは、「もうこれは絶対必要なインフラなんだから、行政も一緒にやろうよ」というのが一つのメッセージになっている。

 

では次お金どうするの、といったら補助金ということで、自分たちで申請したりしなくてはいけない。そうじゃなくて、基本的には統一された基盤(インフラ)が用意されていて、どういうものを載せていこうかという面のみを各団体で考える。

 

自治会・町内会が情報発信するインフラとして、ホームページの共通プラットフォームは必要だと思う。

 

そこに自治会・町内会の情報だけではなく、他分野(ジャンル)の皆さんの活動を一緒に掲載する。市民活動(区民活動)として、そこにいけば全部見れるようにする。

 

行政からの情報は港北区のホームページで、活動のホームページはここをみれば全部わかるという形になれば、理想なのかなと思っている。

 

すでに「港北つなぎ塾」のホームページが開設されているので、そこをスタート地点にできたりするのかな、と思っていた。

 

ぜひ先につなげていきたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

 

 

<参加者質問・コメント1

 

Dグループの「ビジネス・起業」とは、「リアルの場」という面以外では同じ視点なのだが、具体的にこれからどういう地域として何かアクションがあるのか。特に自治会・町内会は、人であるとかしがらみだとかいろいろ大変な問題も多いなか、もう一つ「港北区」というかたちでまとめていくのは、どういった工夫と、何か考えられていることがあるのか、何か協力できることがあるかもしれないと思って質問した。

 

<担当アドバイザー・小泉氏>

 

この「港北つなぎ塾」が終わった後はどうするかという話には至っていない。ただ、ここにいるメンバーは、港北区における情報発信の重要なキーマンであるので、有志の人とかで細々と続けていくことが必要なのかなと思っている。これから考えていきたいと思っている。

 

<参加者質問・コメント2

 

師岡町で空き家を活用した「カフェ」を作ったと聞いた。以前、大曽根で使用されていない家を活用して「カフェ」を運営していたことがあったが、毎年のように場所が変わっていた。聞いてみたら、入居してカフェを始めると、最初は貸主の方に理解していただくのだが、その後に「やはり他に活用することになった」と言われるという。

 

港北区は地価が高いので、相続などが視野に入ってきて、他の土地活用に至るのだと思うが、今回の師岡町のカフェは、大変大掛かりな改修で始めたということなので、ずっとその場所を借りられる工夫は何かあるのか聞いてみたいと思った。

 

<発表者回答・コメント2

 

カフェは「フラット」と名付け、私が立ち上げた。118日にオープンしたばかりだ。

 

その場所は、67年間にわたって空き家の状態だった。雨戸の戸袋がはがれるなど、周りの人も心配していた。そこにその空き家の使い道ないかな、ということでカフェ活用の提案があった。

 

首都圏に在住されている地主の方に連絡をとって、師岡地区社会福祉協議会として、「地域の福祉のために使わせてほしい」と話したら反応があり、計画を練っているうちに、地主さん自身もグループに入ってくれた。

 

最低でも5年から10年は続けたいという話をし、賃貸で貸してもらう形とした。

 

まだ始めたばかりなのでわからないが、「地域の居場所」という活動に対し、地主の方に賛同していただいている。